2014年11月3日月曜日

事始別館7  フォロワーシップ



あなたには「頼りになる同僚」「いざというときにあてになる後輩」はいますか?
あなたのチームは「生き生きとまわって」いますか?

講座24でリーダーシップを考えました。 研究者によってリーダーシップにはさまざまな定義がありますが、このHPでは「リーダーシップ」を「チームの目標達成に向かって、チームに影響を与える行動や働き」として話をすすめてきました。
具体的なリーダーシップ行動は 1)展望を示す 2)方向性を示す 3)チームが協働する状態を作る 4)チームを維持する 5)チームのレベルを維持する 6)メンバー個々のニーズを知る、などさまざま言われています。

 しかし、そもそもメンバーがいなければリーダーもリーダーシップも存在しません。そして、あなたの発揮するリーダーシップも「頼りになる後輩」の存在があってはじめてチームとして廻っていくことになるのです。
と、いうわけで、今回は チームメンバーである「フォロワー」について考えます。

フォロワーシップとフォロワー




フォロワーシップとは、ここでは「部下の側から生じる管理者のリーダーシップへの影響」と定義します。

 リーダーはチームの目的を達するためにメンバーに、いろいろな働きかけをします。そして目的に向かって上記のようなリーダーシップが適切に発揮されたとき、メンバーは納得し、「共感」が生まれ、自発的にチームのために目標に向かう行動が生まれます。これをフォロワーシップといいます。

 ところが地位や権力を背景にして,場合によっては「報酬」や「取引」、「命令」「脅し」などの手段を使って、いうことを聞かせる、というリーダーからの働きかけもあります。これをヘッドシップといいます。従うものを単に「フォロワー」といい、リーダーシップが発揮された場合に得られる、自発的な「フォロワーシップ」とは区別されます。

 また、単に「どうすればいいんですかー」とか「ネットで安直に”こたえらしきもの”を探し飛びつく」などといった、問題に主体的にかかわらないタイプも「フォロワー」といえます。
 
この関係を簡単に書くと以下のようになります。
リーダーシップーー納得、自主、自立、共感ーーーーフォロワーシップ 
ヘッドシップ  ーー地位、物、脅しーーーーフォロワー

ヘッドシップが必要な場合もあることはあとで述べます。

リーダーシップとフォロワーシップ




リーダーの資質
リーダーシップを発揮しようとするリーダーに必要なのはどんな資質でしょうか(講座24)


1)「仕事の全体像」を把握していること:技術的な(仕事上の)知識を何でも枝葉末節まで「一番知っている」必要はないと思いますが、全体像はきちんと押さえていることが必要です。仕事の知識も「平均以下」では「論外」です。

2)コミュニケーション能力:コミュニケーションに関しては昨年のCRMセミナーで述べました。

3)状況認識

4)リソースの準備と活用

5)協調性とワークロードマネジメント

6)意思決定:最後はきちんと(自分で)「決断」する


 これらを身に付けた「生まれついてのリーダー」などほとんどいません。また、私や貴方のように、「歳をとったから」、「経験が多いから」といってリーダーシップが身についているとも限りません。ですから、私や貴方のような「凡人」は「目的をもった訓練」で、良い・有効なリーダーシップをなんとか身に付けることが必要なのです。


フォロワーシップ  



リーッダーシップを分担する

 リーダーシップはリーダーだけが発揮するものではありません。チームの目標に向かってメンバーも場合によってはリーダーシップを発揮し、その場合にリーダーもフォロワーシップを発揮していくことにより、チームの目標達成に向かうパフォーマンスが向上していきます。
 FAAMRMハンドブックに「リーダーシップの分担」という項があります。正式のリーダーがいてもメンバーの一人一人が時と状況によっては責任を分担すべきだ、というのです。これは我々の現場でも同じです。


 「私のほうが詳しいのに・・・」と密かに不満を持ちながらリーダーの「ヘンな指示」に仕方なく従う、なんて事じゃなく、「○○はこうしたほうがいいと思います。私、このこと調べてありましたので・・」と明るく提案し、リーダーシップを分担する、ということです。

 また「リーダーシップの分担」をマネージメントできるリーダーはリーダーシップがある、ともいえます。「権限の移譲」はリーダーシップにとって重要な要素だからです。こうして「チームがまわっていく」ことによりチーム全体のパフォーマンスが上がっていくのです。

リーダーへの信頼の上に客観的に見る力

 リーダーだって万能ではありません。人間ですからエラーもしますし、疲労や内外のストレスからも無縁ではないのです。 ですから、いつでも、なんでもリーダーについてさえいけばよい、というものではありません。リーダーへの信頼の上に、良質な見解、率直な懸念・疑問を表現できること。よい情報も、悪い情報もタイミング良くリーダーに報告できることが、求められます。

 フォロワーシップを発揮していくためには、自立していること、自分の見識や倫理観をもっていること、能動的・自覚的にリーダーについていく、という選択をしていることが必要なのです。


時に必要なヘッドシップ の行使




 では、リーダーによる命令的なコミュニケーションとしてのヘッドシップは常に「悪」なのでしょうか?(共感や納得を得るための)説明をしている余裕がない時、切迫した事態のとき、目標構造のレベルを明らかに取り違えているときなどには、ヘッドシップを発揮して、きっちりと命令する必要があります。リーダーシップは時に使い分ける必要があるのです。
リーダーの権威、権限はそのためにもあるのです。

以前のCRMセミナーのTAG(権威勾配)の資料も参考にしてください。
 

(まだかきかけです)
          





★私もけっこう歳をとっているのですが、この辺は一番苦手の課題です。自分で振り返ってみると、自信を持っている課題・分野の仕事であるときは、余裕があるのか比較的きちんとリーダーシップもフォロワーシップも取れているような気がします。働いていて気持ちよく終われるのです。そうでないときは単なるフォロワーで終わったり、ヘッドシップを使ったり・・・・。
★危機管理のことでお話したことがある元機長の言葉を思い出しました。
「機長(リーダー)は最後に責任をとるためにいるのです」
かなわない、と思いました。kotohajime

★宇宙飛行士の若田さんとフォロワーのことが東洋経済オンラインにのっています。
このテーマにとてもよい記事だと思います。
http://toyokeizai.net/articles/-/16324
宇宙飛行士が鍛える、「上司にモノ申す」技術
「侮れない部下」が、チームを引き上げる



 

0 件のコメント:

コメントを投稿